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品格あるまちを望む

人は誰も自己肯定感を持ちたいものです。そして、それは自分自身だけでなく自分の所属するグループについてもそうで、多くの人が自分の住むまちに誇りを持ちたいと思っています。だから、特に権力持つものは自身のもつ力を抑制的に用い品格あるまち、住むものが誇りをもてるまちをイメージし続けることが大切です。

丹波篠山市のホームページには市長日記なるページがあります。市長が市政の出来事や市の計画などに基づいた施策について紹介するページです。ただ時々政治的な主張が混じることがあり、とても遺憾に思ったりします。

市のホームページは市広報紙と同じく「公器」であります。

リーダーは批判されるのは当たり前で、それに対してグッと堪え続ける努力が求められます。時には反論も必要になることもあるでしょう。ただ、そんな時こそ「公器」の使用には慎重であるべきです。


さて、先日、マイ助産師ケアセンターの予算取り下げの事案がありました。議論の最中にはいろいろな課題もありましたが、再度積み上げ直すとのことですのでみんなで建設的な議論ができることを期待していました。
ところが、市長とある議員の批判合戦がまだ続いているようで何をやっているんだとの思いです。双方の大人げない行為は、それぞれがまちの代表であるゆえ、まちの品格を下げてしまうことにならないでしょうか。

まず市長にはなぜ混乱がおこったのか、自分の説明のどこが問題であったか考えていただいたいです。本当に相手が勝手に誤解したのでしょうか?医療の制度をきちんと理解し、誤解を生むことをしていなかったのか胸に手を当ててみて欲しい。

今となっては、市の提案の真意は私も分かりませんが、それが誤解なら、誤解を生んだ原因ははっきりしています。それは、検討会や議会で説明してきた資料に誤解の元があるからです。

産科充実に向けての検討会の検討資料と議会説明で用いられた資料はほぼ同じなので公開になっている検討会の提出の資料を見てみましょう。

医院「健診、分娩までするのではないか。」
市長「健診も分娩もしない。」・・・なぜ、主張が違う?

5月30日開催 令和2年度第1回丹波篠山市の産科充実に向けての検討会
①資料「「My助産師ケアセンター」設置について(案)」の記述
3 位置づけ
丹波篠山市子育て世代包括支援センターの産前産後ケアを担う場と位置付け、当初は「ふたば」の機能として事業を行い、センター新設後は分娩機能を持たない助産所としての開業をめざす。(下線は渡辺)
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/material/files/group/93/R2dai1kai4.pdf

②資料「My助産師ケアセンター ~出産~産後の流れ(案)~」の記述
・妊娠経過に異常がない方で希望者は My助産師ケアセンターでの妊婦健診も考慮
・産後ケア2週間健診はMy助産師ケアセンターでも可能
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/material/files/group/93/R2dai1kai5.pdf

この資料を見る限り、医院が市長の言葉を信じられないとするのはもっともです。
特に、「センター新設後は分娩機能を持たない助産所としての開業をめざす。」が問題で、この意味を市長も本当に理解しているのかさえ疑問になります。

いくら分娩機能を持たなくても、助産所の開業には嘱託医師の設置が必要(医療法第19条)なわけで、「助産所の開業をめざす」とは「嘱託医師を設置する」と同じ意味なのです。嘱託医師が設置されると、その医師がケアセンターに出張してきて健診をすることもできますし、分娩実施の道が開かれることにもなります。

このことが分かっていれば、ケアセンター設置に不安をもたれる医院が出てくるのは当然のことと感じています。
だから、市長にはこの資料を白紙にしないといつまでたっても「検診も分娩もしない」との言葉は真実味を帯びないのではないでしょうか。大人の対応を期待します。


次に、市長を批判する議員にも問題がなかったわけではありません。
SNSはもはや政治家の重要なツールになっており、それを用いて政治主張をすることはなんら問題ではありません。
しかし、議員は一般市民とは違い一定の権力を持っています。課題について市長とひざ詰めで話することも容易にできます。なかなか理解が得られなく協議が平行線になることもよくあることですが、そこは市民のため安易なSNSに頼らずもう少し忍耐強く説得ができなかったものでしょうか。SNSで相手を批判してしまえば、たとえ主張が正しかったとしても協議はできなくなり、最終的に市民に不利益を与えてしまいます。ある政治論者が、政治とは固い板に忍耐強く穴をあけるようなものとの言っていますが、まさにそれが政治ではないでしょうか。
 
 また、個人情報が含まれる民の案件についてのSNSの発信には注意をしなければなりませんし、発言力ある政治家はよりそうです。
 最近にも、SNSの不用意な発言がきっかけで命を失うとの不幸な事案がおこっています。政治家は、SNSのリスクを周知する立場ででもありますので、もう少し注意してほしかったです。

 
 今回のごたごたは、「どっちもどっち」です。
 お互い頭を冷やして、一人ひとりの暮らしを支える市政への取り組みにもどり、市民が誇りを持てるまちづくり、品格あるまちを目指してほしいものです。

令和2年6月30日

2020年06月30日